☆統合失調症について解説します!障害年金

こんにちわ!社会保険労務士の小池美帆です。

今回は障害年金の対象となる精神障害のうち、統合失調症について解説します。

まず最初に、年金の認定基準で精神の障害は以下のように区分されています。

統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害
気分(感情)障害
症状性を含む器質性精神障害
てんかん
知的障害
発達障害

障害認定基準で統合失調症の障害の程度は以下のようになっています。

障害の程度障害の状態
1級統合失調症によるものにあっては、高度の残遺状態又は高度の症状があるため高度の人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験が著明なため、常時の援助が必要なもの
2級統合出張相によるものにあっては、残遺症状又は症状があるため人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があるため、日常生活が著しい制限を受けるもの
3級統合失調症によるものにあっては、残遺状態又は症状があり、人格変化の程度は著しくないが、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があり、労働が制限を受けるもの

これは精神の障害に共通する目安ですが、
1級は他人の介助を受けなければ日常生活のことがほとんど行えないような障害の状態で、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度といわれています。活動の範囲がベッド周辺に限られているような状態です。

2級は必ずしも他人の助けは必要としなくても、日常生活は非常に困難な状態の方です。活動の範囲は主に家の中や病院内に限られ、家庭内で軽食づくりなどの軽い活動しかできないような方が該当します。

3級は労働が著しい制限を受ける、または労働に著しい制限を加えることを必要とするような状態です。日常生活に制限はほとんどないが労働に制限があるとき該当となります。

令和4年4月1日改正の障害認定基準によると、精神の障害の程度はその原因、諸症状、治療及びその病状の経過、具体的な日常生活状況等により総合的に認定するとして、以下のようになっています。

障害認定基準より抜粋

『統合失調症は、予後不良の場合もあり、国年令別表・厚年令別表第1に定める障害の状態に該当すると認められるものが多い。しかし、罹病後数年ないし十数年の経過中に症状の好転を見ることもあり、また、その反面急激に増悪し、その状態を持続することもある。したがって、統合失調症として認定を行うものに対しては、発病時からの療養及び症状の経過を十分考慮する。』
『日常生活能力等の判定に当たっては、身体的機能及び精神的機能を考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。』

こちらも精神障害に共通する内容ですが、認定には現時点での状態だけではなく発症時から現在また予後も考慮されます。精神の障害については、同じ病気であってもその症状は個人差が大きく、また同じ状態が続くとは限りません。短期間で症状が変わることを繰り返したり、長い時間をかけて症状に変化が現れその結果として統合失調症であると診断されることもあります。そのため、「その病気であること」と「現時点の症状」だけをもって判断されるわけではないということです。

また精神障害の診断書には食事や買い物をどの程度円滑に行えるか、意思伝達や対人関係、社会性の程度など日常生活状況について記載する欄があり、非常に重要です。
普段の診察でお薬の効きや量について確認されることがあるかと思いますが、主治医へご自身の生活状況を伝えることも障害年金の申請をする上ではとても大切です。食事をきちんととることができているか、またそれは自発的にしているのか声掛けされてやっと食べている状態なのか、入浴や外出は家族の介助を必要としているかなどお話することで、診断書へ正確に反映してもらうことができます。

生活状況も評価されるのね。
では仕事をしていると、障害年金の受給はできないのかしら?

働いているからという理由で直ちに等級が下がったり、不該当となるわけではないことも示されています。働いて収入を得ているから2級に該当しないかというと必ずしもそうとは限らず、就労状況や職場での援助の内容などによって判断されます。ガイドライン上は等級に該当するものの申請してみたら棄却されたケースや、親族の会社に勤めてある程度のお給料が出ていたけれども実態としてほぼ出勤していない状況であったため認定されるケースなど、個別に検討され判定されるところです。
認定基準は以下のように示しています。

障害認定基準より抜粋

『現に仕事に従事している者については、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断すること。』

統合失調症ならではの注意ポイントはある?

統合失調症の特徴として、本人に病識がないため通院を中断したり受診拒否をしたり、また記憶の問題や経済的理由から通院をやめてしまうということがあります。

このときの診断書が注意ポイントです。

障害年金で通常の申請(認定日請求遡及請求)をするときには障害認定日後3か月以内の診断書が必要ですが、障害認定日あたりに通院していないと基本的には診断書を作成してもらうことができません。
このような場合には患者本人が受診していなくても、本人の同意を得て家族が代理で受診していれば診断書を書いてもらえることがあります。
また障害認定日後3か月以内の診断書が取れなかった場合でも他の方法を検討することができます。事後重症請求といって、障害認定日診断書ではなく申請をする日以前3か月以内の診断書を提出する申請です。支給される額は変わります。

統合失調症は発症から予後までの経過と日常生活状況などを総合的に評価して、認定基準にしたがって個別に認定される傾向が強いことがわかりました。
症状や経過も個人差が大きく、申請書類も難しくなる場合があります。
是非一度、障害年金専門の社会保険労務士へご相談ください

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