☆生活保護と障害年金
こんにちは!社会保険労務士の小池美帆です。
今回は生活保護と障害年金の関係について解説します。
生活保護と障害年金は同時に受給することが可能です。
しかし、注意すべき点があります。
生活保護と障害年金は同時に全額をうけることができません。
生活保護で障害年金は収入とみなされますので、障害年金の額よりも生活保護の額が多い場合は「生活保護の額から障害年金の額を引いた額+障害年金の額」が、生活保護の額よりも障害年金の額が多い場合は「障害年金が満額支給」され、生活保護は打ち切りとなります。
つまり障害年金の額が生活保護の額より少ない場合は総額として変わらず、障害年金の額のほうが多い場合は障害年金の額の支給となります。
生活保護受給者が障害年金を受給することで何か利点はあるの?
ひとつめは、障害年金2級以上の受給者に生活保護制度から障害者加算が付くことです。
障害者加算は、健常者であれば徒歩や電車で移動できるところを身体が不自由であるためにタクシーを使う場合など、必要となる費用を補填するためのものです。(居住の市町村によって支給金額は違います)
精神の障害者に関しては、障害年金の受給権者でなく精神障害者保健福祉手帳2級以上を持っていれば障害者加算がつきます。この場合、初診日から1年6か月以上経過した後に手帳が交付されていることが要件となります。
注意する点として、障害者加算は「生活保護+障害年金2級以上」と「障害年金の受給権なし+精神障害者保健福祉手帳2級以上」につくので、精神障害者保健福祉手帳2級以上を交付されている人が障害年金の申請を行い3級に認定された場合は障害者加算がつかず、それまで障害者加算がついていた場合は停止されます。
ふたつめは、収入分を差し引かれる生活保護と違い、障害年金に収入の要件がない点です。
働きながら受給しても障害年金は減額されないため、本人や同居する人が収入を得られる予定がある場合に障害年金を受給するメリットがあります。
生活保護を受給している人が障害年金の申請をするとき、注意する点はある??
障害年金を遡って受給するときには注意が必要です。
障害年金の時効は5年です。障害認定日が5年以上前にあれば最大5年まで遡って受給することが可能となります。
しかし障害年金は生活保護法上収入とみなされるため、遡って支給される場合は、その間に支給された生活保護費の返還義務が生じます。
この場合、障害年金を遡って受給するかどうかを検討することとなります。
現在生活保護を受給している方が障害年金を検討するときには、一度ケースワーカーに相談してみても良いかもしれません。