☆アルコール依存症で障害年金は受給できるのか
こんにちは!
社会保険労務士の小池美帆です。
今回はアルコール依存症と障害年金について解説します。
結論から申し上げると、アルコール依存症は障害年金の対象となります。
認定基準、精神の障害「 症状性を含む器質性精神障害」において、「アルコール、薬物等の精神作用物質の使用による精神及び行動の障害(以下「精神作用物質使用による精神障害」という。)についてもこの項に含める」「アルコール、薬物等の精神作用物質の使用により生じる精神障害について認定するものであって、精神病性障害を示さない急性中毒及び明らかな身体依存の見られないものは、認定の対象とならない」とされています。
アルコール依存症では精神病性障害を示すものであること、または身体依存が見らるときに障害年金の認定の対象となるということです。
精神病性障害はアルコール摂取中や摂取直後に起こる幻覚、幻聴、妄想、人物誤認などであり、統合失調症様のもの、うつ病症状のもの、躁病症状のものなどがあります。
身体依存とは離脱症状が出現する状態です。
これらの症状により、認定基準に該当するとき障害年金を受給することができます。
認定基準による一部例示は次の通りです。
障害の程度 | 障害の状態 |
1級 | 高度の認知障害、高度の人格変化、その他高度の精神神経症状が著明なため、常時の援助が必要なもの |
2級 | 認知障害、人格変化、その他の精神神経症状が著明なため、日常生活が著しい制限を受けるもの |
3級 | 1 認知障害、人格変化は著しくないが、その他の精神神経症状があり、労働が制限を受けるもの 2 認知障害のため、労働が著しい制限を受けるもの |
障害手当金 | 認知障害のため、労働が制限を受けるもの |
労働の側面からみてみます。
上の例示からも分かるように3級では「労働が制限を受けるもの」とあります。労働していることで直ちに申請が却下されるわけではないことが示されており、認定基準では精神の障害共通とはなりますが以下のように明示されています。
認定基準より抜粋
「日常生活能力等の判定に当たっては、身体的機能及び精神的機能を考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。また、現に仕事に従事している者については、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断すること。」
障害年金は、「病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合」に受け取ることができる年金であり、仕事をしていないことが条件ではありません。支給については、請求者の生活状況や就労の実態を個別に認定審査されます。