☆下肢の障害(足・脚)の障害年金の認定基準
肢体の障害による障害の程度は、「上肢の障害」「下肢の障害」「体幹・脊柱の機能の障害」及び「肢体の機能の障害」に区分され、どの部分をどの程度欠損しているか、どの程度機能障害があるかなど細かく定められています。
今回は上肢の障害のうち、「下肢の障害」の認定基準についてご紹介します。
1.認定基準
1級 | ・両下肢の機能に著しい障害を有するもの(以下「両下肢の用を全く廃したもの」という。) ・両下肢を足関節以上で欠くもの |
2級 | ・両下肢の全ての指を欠くもの(以下「両下肢の10趾を中足趾節関節以上で欠くもの」という。) ・一下肢の機能に著しい障害を有するもの(以下「一下肢の用を全く廃したもの」という。) ・一下肢を足関節以上で欠くもの |
3級 | ・一下肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの ・長管状骨に偽関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの ・一下肢をリスフラン関節以上で失ったもの ・両下肢の10趾の用を廃したもの |
障害手当金 | ・一下肢の3大関節のうち、1関節に著しい機能障害を残すもの ・一下肢を3センチメートル以上短縮したもの ・長管状骨に著しい転位変形を残すもの ・一下肢の第1趾又は他の4趾以上を失ったもの(以下「一下肢の第1趾又は他の4趾を中足趾節関節以上で欠くもの」という。) ・一下肢の5趾の用を廃したもの |
2級は身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。
3級は身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの。
障害手当金は身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すものとしています。
2.認定要領
下肢の障害は「①機能障害」「②欠損障害」「③変形障害」「④短縮障害」に区分されます。
<以下、認定要領より抜粋>
①機能障害
・「身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」とは、一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの(例えば、一下肢の 3 大関節中 1 関節が不良肢位で強直しているもの)又は両下肢に機能障害を残すもの(例えば、両下肢の 3 大関節中それぞれ1 関節の筋力が半減しているもの)をいう。なお、両下肢に障害がある場合の認定に当たっては、一下肢のみに障害がある場合に比して日常生活における動作に制約が加わることから、その動作を考慮して総合的に認定する。
・障害の程度を認定する時期は、人工骨頭又は人工関節をそう入置換した日(初診日から起算して 1 年 6 月を超える場合を除く。)とする。
参考ブログ「☆障害認定日の特例とは?」
・「身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」とは、一下肢に機能障害を残すもの(例えば、一下肢の 3 大関節中 1 関節の筋力が半減しているもの)をいう。
・日常生活における動作は、おおむね次のとおりである。
(ア) 片足で立つ
(イ) 歩く(屋内)
(ウ) 歩く(屋外)
(エ) 立ち上がる
(オ) 階段を上る
(カ) 階段を下りる
②欠損障害
・「足関節以上で欠くもの」とは、ショパール関節以上で欠くものをいう。
・「趾を欠くもの」とは、中足趾節関節(MP)から欠くものをいう。なお、いずれも切断又は離断による障害の程度を認定する時期は、原則として、切断又は離断をした日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)とする。ただし、障害手当金を支給すべきときは、創面が治ゆした日とする
③変形障害
・「長管状骨に偽関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの」とは、次のいずれかに該当するものをいう。(偽関節は、骨幹部又は骨幹端部に限る。)
(ア) 大腿骨に偽関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの
(イ) 脛骨に偽関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの
・「長管状骨に著しい転位変形を残すもの」とは、次のいずれかに該当するものをいう。
(ア) 大腿骨に変形を残すもの
(イ) 脛骨に変形を残すもの(腓骨のみに変形を残すものについても、その程度が著しい場合はこれに該当する)
④短縮障害
下肢長の測定は、上前腸骨棘と脛骨内果尖端を結ぶ直線距離の計測による。
(ア) 一下肢が健側の長さの 4 分の 1 以上短縮した場合は、「一下肢の用を全く廃したもの」に該当するものとして認定する。
(イ)一下肢が健側に比して10 センチメートル以上又は健側の長さの 10 分の 1以上短縮した場合は、「一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの」に該当するものとして認定する。
3.関節可動域の測定方法、関節の運動及び関節可動域等の評価について
診断書を作成するうえで、関節可動域の測定方法、関節の運動及び関節可動域等の評価が必要となります。
測定方法については、別紙 日本年金機構「肢体の障害関係の測定方法」をご覧ください。
<以下、認定要領より>
・関節の運動に関する評価については、各関節の主要な運動を重視し、他の運動については参考とする。なお、各関節の主要な運動は次のとおりである。
部位 | 主要な運動 |
股関節 | 屈曲・伸展 |
膝関節 | 屈曲・伸展 |
足関節 | 背屈・底屈 |
足指 | 屈曲・伸展 |
・関節可動域の評価は、原則として、健側の関節可動域と比較して患側の障害の程度を評価する。ただし、両側に障害を有する場合には、別紙「肢体の障害関係の測定方法」による参考可動域を参考とする。
・各関節の評価に当たっては、単に関節可動域のみでなく、次の諸点を考慮した上で評価する。
(ア) 筋力 (イ) 巧緻性 (ウ) 速さ (エ) 耐久性
・なお、他動可動域による評価が適切ではないもの(例えば、末梢神経損傷を原因として関節を可動させる筋が弛緩性の麻痺となっているもの)については、上記諸点を考慮し、日常生活における動作の状態から下肢の障害を総合的に認定する。
下肢の障害について、詳細はこちらをご覧ください
日本年金機構 『下肢の障害』